【例】某設備の総数推定

HOME | 【例】某設備の総数推定

● 日本にある「道路照明灯」の総数を推計してみた

数年前にある企業の方から言われたテーマです。創業したばかりだった当方に「調査能力らしきものがあるかどうか試してみる」程度の意味合いだったと思われます。
この調査は契約もなく当然ながら対価(報酬)もない、いわば当社の自主的な調査。著作権は当社にあります。ということでOSINT(Open Source Intelligence:公開情報の分析から、有益な情報を導き出すこと)の例として、エッセンスを紹介します。
 

道路照明等とは、文字通り道路の横にあり道を照らすための照明灯。道路街路灯とも言われます。安全のためになくてはならないものですね。さて、日本にはいったい、何基が設置されているでしょう。

 
生成AIに聞いてみる? これを調べたのはChatGPTやCopilotの登場前でしたし、ちなみに2024年5月時点で尋ねても、明快な答えは返ってきませんでした。しかし、①調査手法を考え、②それに沿って地道に調べ続け、③ある程度まとまったら残りの数値の推定(計算)手法を考え、④これまでの②と③の数値を足す、の4工程を踏めば、それらしい答えが導き出せます。
 
この手法で大切なのは、「(誰かの受け売りではなく)推定の根拠を自分で持つことが出来ること」。手法を応用すれば、「全国の屋外プールの設置数」でも「系統接続用定置型蓄電池の設置数」でもなんでも、ご自身で導き出せると思います(たぶん)。では行ってみましょう

 

① 手法設計 ~判明した数をベースに、残りの数を推計する

道路照明灯は、市町村と都道府県、国のそれぞれが別々に管理しています。そうであれば、それぞれが管理している道路照明灯の数を調べ、この数値から残りの未知の数(公開されていない照明灯の数)を推定する方式が適していると考えました
 

調査概要1

調査概要1

 
 

② 公開されている情報を集めまくる

最も手間がかかる作業。地方紙や議会の議事録、報道資料、自治体の広報資料あたりから、とにかく数を収集します。地道に飽きずに焦らずに。この段階で全国の人口比で50%を超えれば「いける!」と思います。多くの人はこの作業の継続に耐えられず(飽きる)、途中で放棄してしまうでしょう

 
調査概要2

調査概要2

 
 

③判明しなかった数を推計するためのパラメータを考える

人口比で50%は分かったが、残りの50%は不明のまま。2倍しますか? そんなに単純ではありません。道路照明灯の設置数と関係がありそうなのは・・・その自治体の人口や人口密度、道路の長さなどたくさんありそうです。
試してみた結果、市(市道の照明灯)の場合はその市の人口との相関が高く、県(県道の照明灯)の場合は人口だけでなく道路長(県道の長さ)とも相関関係がありそうです。重要なのは推定直線に狂いを生じさせる「異常値の排除」です。
ここでは、県の道路照明灯を2通りの場合で調べ、その平均をとってみました
 

調査概要3

調査概要3

 
 
調査概要4

調査概要4

 
 
調査概要5

調査概要5

 
 
 

④全体の数を足し、結果を得る

最後に市町村、都道府県、国の推計数を足し合わせます。
結果は「380万基」。いかが?

 
調査概要6

調査概要6

 
 

手法は単純。計算も中学生レベル。でも「とりあえず道路照明灯の設置数と数を、分かる範囲で全部調べてみる」というような手間と時間がかかることを、実際にやってみるといろいろなことが分かります。
手間暇を惜しまず、納得いくまで徹底的に調べる。これが調査の基本です。
皆様もお試しあれ!